学位記授与式（卒業式）ならびに優秀卒業論文賞表彰式が行われました。

今年度の学位記授与式（卒業式）は、昨年度同様3部制で実施され、国際関係学部は第2部に挙行されました。その後、国際関係学部の学位記授与会場（講義室）に移動して学部単位での学位記授与式が行われました。
中野智章学部長の送辞に続き、学部生128名が国際学士の学位記を授与されました。今年も、恒例となる2023年度 国際関係学部長賞優秀卒業論文賞の表彰式も行われました。

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国際関係学部長賞優秀卒業論文賞

各賞受賞論文の表題は以下の通りです

＜最優秀論文賞＞

• 国産材の安定供給へ向けた課題―国有林の活用と一貫生産体制を検証する―

＜優秀論文賞＞

• 茶摘み娘の労働に関する民俗学的研究～静岡県島田市金谷と浜松市天竜を事例に～

• 宮崎駿監督作品『となりのトトロ』に表れるアニミズムと自然観―レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」という視点からの考察―

• 金田伊功の技 アニメーションの弾道

• 女人禁制の歴史から読み解く現代日本の差別と伝統のあり方―神社の女性宮司を事例にしたインタビュー調査による考察―

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講評は以下の通りです

＜最優秀論文賞 講評＞

先進国でも屈指の、森林面積が国土の7割を占める日本だが、木材自給率は5割を切る。この現状は、いかに変革しうるか？ 本論文は、北海道ほどの小国ながら日本の木材生産量の7割相当を生産する「森林大国・オーストリア」に範を求め、林業構造を詳細に比較検討することで日本の林業構造の課題をあぶり出すことに成功している。民有林の国有林化を進め、林業労働力を増強しつつ、一貫生産体制を拡充すべきという結論は、高い説得力と迫力をもって訴えかける。木材の生産・輸入と地球規模の環境問題の関係など、環境政策の観点からの分析が抜け落ちていることを差し引いても、2年生から温め続けた問題意識を見事に研究論文へと昇華させた力作と評することができる。

【評者：加々美康彦教授　国際学科】

2023年度の国際関係学部優秀卒業論文賞への応募は全部で５点であった。

テーマはそれぞれ、国有林の活用、宮崎アニメにおけるアニミズム、茶摘み娘の労働、アニメーション技術、女人禁制である。この中から「国産材の安定供給へ向けた課題 ―国有林の活用と一貫生産体制を検証する―」が最優秀論文に選ばれ、残りの４作品が優秀論文賞として認められた。いずれの作品も国際学科らしい視点で描かれた意欲的な論文であった。優秀論文について紹介する。

まず、「宮崎駿監督作品『となりのトトロ』に表れるアニミズムと自然観 ―レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」という視点からの考察―」は、「『となりのトトロ』という大作に正面から取り組み、アニミズムや「センス・オブ・ワンダー」という大きな視野から堂々と論じた素晴らしい論文である」、「岩田慶治やカーソンが効果的に引用されており、とくに最終章である第５章のトトロと自然観の文章には惹き込まれた」という審査員評があった。

次に、「茶摘み娘の労働に関する民俗学的研究 ―静岡県島田市金谷と浜松市天竜を事例に―」は、「日本の近代化、機械化が進む中での女子労働の研究は盛んであるが「茶摘み」というテーマで女性の労働や性別分業を論じたのは貴重である」、「従前の「女工哀史」的思考の研究を超越し、「語らぬ者」の声を明らかにしようとしている点を高く評価したい」という審査員評があった。

次に、「金田伊功の技　―アニメーションの弾道―」については、「「弾道」という観点から金田アニメ作品の特質、アニメ界への影響力をアニメのコマを一つずつ緻密に分析した実証性を兼ね備えており、その丁寧な作業と観察眼はオリジナリティーに溢れる」、「アニメーターの技をあらゆる角度から明らかにして、その独創性を浮き彫りにした、意欲的な研究である」という審査員評があった。

最後の「女人禁制の歴史から読み解く現代日本の差別と伝統のあり方 ―神社の女性宮司を事例にしたインタビュー調査による考察―」については、「テーマは興味深く多くの資料を参考にしている意欲的な作品だが、先行研究紹介や理論展開に重なりが多く若干流れが悪い」という審査員評があったものの、「「女人禁制」というテーマに、インタビューを通して新しい見解を明らかにした意義は大きい」という意見が多勢をしめて優秀論文に選ばれた。

以上のように、今年度も意欲的な作品が集まった。審査員にとっては自分のゼミ生以外の論文を詳しくみることになり、また同時に審査員それぞれの研究分野による評価に触れ、国際学科の学問分野の多様性を再確認できる機会となった。

【評者：中山紀子教授　国際学科】