2024年度 国際関係学部学位記授与式 2025.03.26 国際関係学部 お知らせ

学位記授与式(卒業式)ならびに優秀卒業論文賞表彰式が行われました。

今年度の学位記授与式(卒業式)は、2部制で実施され、国際関係学部は第2部に挙行されました。その後、国際関係学部の学位記授与会場(講義室)に移動して学部単位での学位記授与式が行われました。
中野智章学部長の送辞に続き、学部生105名が国際学士の学位記を授与されました。今年も、恒例となる2024年度 国際関係学部長賞優秀卒業論文賞の表彰式も行われました。

学位記授与式後撮影した集合写真
【国際】2024学位記授与式002
2024学位記授与式03

国際関係学部長賞優秀卒業論文賞

各賞受賞論文の表題は以下の通りです

<最優秀論文賞>

  • 入管法「改正」の問題点 ―LGBTQ難民の認定及び収容の視点から―
【国際】2024学位記授与式004

<優秀論文賞>

  • 神社の授与品にかわいさを求める動機に関する民俗学的考察 ~SNSで話題になるお守りを事例に~
  • 言語におけるジェンダー性 ―英語と日本語、スペイン語の比較をめぐって―
  • 現代日本社会における「恩」の構造 ~ジャニーズ性加害問題を例に~
  • 援助交際という選択 ―身体を売る男性へのインタビュー調査から―

講評は以下の通りです

<最優秀論文賞 講評>

本論文は、日本の入管法改正(2024年6月)について、いわゆるLGBTQ難民の受け入れに焦点を当てて論じたものである。日本独自の制度改革の過程となる可能性を指摘しつつも、LGBTQ難民の保護に関していえば、今回の改正は真の「改正」と呼びうるものではないと結論づけている。国際法のディシプリンを活かして、日本の入管法改正だけでなく、LGBTQ難民の保護に関する国際的な状況を丹念に検討した上で、今後の方向性を積極的に提示している点が評価される。国際的な広い視野と高い専門性を兼ね備えた、国際関係学部の最優秀論文にふさわしい力作である。

【評者:高英求教授 国際学科】

<優秀論文賞 講評>

2024年度の国際関係学部優秀卒業論文賞への応募は全部で10点であった。それぞれ論旨、参考文献や現地調査による立証、卒論としての学術的価値など一定のレベルを超えた力作であり、選考委員会においては議論が白熱した。

その中で優秀論文賞に選ばれた4点について講評する。「神社の授与品にかわいさを求める動機に関する民俗学的考察〜SNSで話題になるお守りを事例に」論文については、現代的なテーマであるため資料も少ない中、現場に足を運んで調査を行い、これまでにないユニークな視点を探究した力作であり、論旨も明快である。愛知と長野に特化した調査により一般的なお守り論から差異化を可能にしたオリジナリティが評価できる論文である。

「言語におけるジェンダー性−英語と日本語、スペイン語の比較をめぐって−」論文の社会的意義は、無意識のうちに人々が抱いている潜在的なジェンダー性を言語の側面から表層化させることで、社会に内在する不平等なジェンダー意識に変化をもたらそうとする試みにある。言語における男女平等社会への適応が社会的には図られてきたものの、その限界について独自の視点から考察し、三言語を駆使して論証に成功した卒業論文である。

「現代日本社会における「恩」の構造〜ジャニーズ性加害問題を例に〜」論文は、「恩」というキーワードを基に研究対象を多面的に分析することに成功している。「恩」が暗黙の規範となっていたこと、また犯罪行為の領域に親も含め社会ごとのめり込んでいく状況を明らかにし、この問題を理論化しようとした試みは評価できる。

「援助交際という選択−身体を売る男性へのインタビュー調査から−」論文は、先行研究が限られる中、丹念に聞き取り調査を行い、研究対象となった人々と信頼関係を築いて心の内にまで迫り、貴重な第一次資料を集めた力作である。性的嗜好性が複雑に絡み合う社会を、テーマ化された人びとが生き抜いている様子を綴った「語り」の希少性、および本論文のルポルタージュとしての意義は大きく、筆者独自の見解を導いている点も評価できる。

その他の応募論文も現代的なテーマが多く、現代社会問題の核心に迫ろうとした意気込みが感じられる論文であり、今回優秀論文に選ばれなかった論文についても評価が高く、その直向きな卒論執筆における情熱に拍手を送りたい。

【評者:国際関係学部長賞優秀卒業論文選考委員会】

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